「社用族」がぐっと減りピーク時の半分以下に

コロナ禍以降、ゴルフを始めるビジネスパーソンが増えたといいます。特にゴルフ場に行くと、20〜40代のやや若い世代が以前よりも増えているように感じます。しかし、統計上のゴルフ人口は減少の一途を辿っています。『レジャー白書2024』によると、2023年のゴルフ人口は約530万人。1992年のピーク時(1480万人)と比較すると、65%ほど減少しています。一方で、同じく『レジャー白書2024』を見てみると、2023年のゴルフ場来場者数は約8900万人。実はこの10年を見てもほとんど増減がありません。

つまり、ゴルファー自体は減っていますが、その分、熱心にゴルフをする層が増え、実際にゴルフ場でプレーする人の数は減っていないのです。ピーク時よりも単価が下がっているため、市場規模は減少傾向ではありますが、それでもゴルフ場産業は9000億円を超える大きな市場となっています。

なぜ、このようなことが起こっているのか。

それを考えるうえで押さえておきたいのが、日本のゴルフがそもそも「社用族」と呼ばれるサラリーマンたちの社交として発展してきたということです。

1957年に霞ヶ関CCで行われたカナダカップで、中村寅吉と小野光一の日本チームが優勝し、日本にゴルフブームが起きたというのが定説ですが、実際に大きく大衆化していくのはゴルフ場が全国にできる70年代です。“ジャンボ”こと尾崎将司プロがデビューした70年から20年余りで、日本のゴルフ場は2000コース以上増えました。現在営業しているゴルフ場が約2200コースであることを考えると、そのインパクトの大きさがわかるでしょう。

1970年代、ゴルフが大衆化するきっかけを作った“ジャンボ”こと尾崎将司プロ
写真=時事通信フォト
1970年代、ゴルフが大衆化するきっかけを作った“ジャンボ”こと尾崎将司プロ

プロゴルフが隆盛となり、ゴルフが大衆にとって身近なものになっていくことで、サラリーマンの人付き合いは、ゴルフ、麻雀、カラオケ(などの飲み会)が中心になっていきました。

これにはもちろん功罪があって、現在も残っているゴルフへの悪いイメージの多くは、この時代に定着したものです。ゴルフは接待や社内の交際に使用され、社会人になったらゴルフと麻雀を覚えろと上司や先輩に強要されるのは当時では常識でした。年に2回は親睦コンペが行われ、全くゴルフに興味のない人も社内行事として参加させられます。社用族とは、まさにそんな“会社”のためにゴルフをする人たちを表す言葉でした。

週末はゴルフ。いかにもおじさんっぽい服装で、話題は社内政治と夜の女の話……などと言うと少し紋切り型すぎるかもしれませんが、こうした典型的な昭和ゴルフの風景は、現代のビジネスパーソンにはむしろかなり嫌がられているでしょう。

ゴルフ人口がピーク時から半分以下になってしまったのは、おそらくこうした社用族が減ったためと推測されます。

付き合いで年に何ラウンドかしていたライトユーザーがごっそりと減ったため、統計上のゴルフ人口はかなり減りました。一方で、それでもなおゴルフの楽しさに惹かれて、熱心にラウンド数を増やしているゴルファーが増えたことで、ゴルフ場の来場者数が減らなかったのです。