15歳のアマ選手が「ハニカミ王子」に

実業家の前澤友作氏の発案で、今年新たに開催されるゴルフトーナメント「前澤杯 MAEZAWA CUP」。その大きな特徴は、最大10日間にわたってプロアマ戦を開催し、参加チケットはオークションで購入する方式をとっていることです。

一般的なゴルフトーナメントは、主催者となるメインスポンサーが一試合あたり数億円の資金を投入して開催されます。入場料収入も期待できるのですが、毎日数千人のギャラリーが入ったとしても、賞金を含めたトーナメント開催に必要な費用を出すには全く足りません。

ベストスコアは「69」と自身も熱狂的なゴルファーだという前澤氏は、ツアープロの技術や凄みをより感じてほしいという思いから、この大胆なプロアマ戦を企画したといいます。プロアマ戦とは多くの場合、プロ1人にアマチュアゴルファー3人で1組となりプレーすることです。ほとんどのトーナメントで開催されるこのプロアマ戦ですが、その枠はメインスポンサーの招待客によって埋まります。今回の「前澤杯」では、それを1組100万円から始まるオークション方式で、一般のゴルファーにも開放しました。

ゴルフコースのカップのそばにあるゴルフボール
写真=iStock.com/Somchai Sookkasem
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そしてこの「前澤杯」のプロアマ戦で、圧倒的な人気を得ていたのが、石川遼選手でした。石川選手のプロアマ枠は、上限に設定されていた500万円で完売。他の選手では100万円を超える人も存在しませんでした。圧倒的な人気の差が存在することがうかがえます。現在の国内の男子ツアーは試合数が全盛期の半数近く減少し、人気低迷が指摘されて久しいですが、その中でも別格の人気を誇る選手、それが石川選手です。

なぜ、これほど石川選手は人気なのでしょうか。それは彼の鮮烈なデビューから語る必要があるでしょう。

ジャンボこと尾崎将司選手が、最後にツアー優勝したのは2002年、55歳のときです。国内男子ツアーは、この尾崎選手に加え、青木功選手、中嶋常幸選手のAONを中心とした戦いで盛り上がり、1990年代にはその強いジャンボに多くの若手が挑戦するという構図で人気を博していました。ツアーの中心からジャンボが退きつつある頃、知名度の低い海外選手や若手選手の優勝が相次ぎ、その彼らも安定して強さを発揮できたわけではなく、ジャンボ中心の時代のようなツアーの戦いの構図、ストーリーが作りにくくなっていました。そのため肝心の試合内容が魅力のないものになっていったのです。

そんな折、2007年に衝撃的な事件が起きます。それが「マンシングウェアオープンKSBカップ」で当時15歳のアマチュア、石川選手が優勝したことです。並み居るツアープロたちの中で、現役の高校1年生が優勝するという快挙は、ゴルフ界にとどまらず、一般のニュースでも大きく報じられました。それまで、プロのトーナメントでアマチュアが優勝したのは1980年中四国オープンの倉本昌弘選手ただ一人。プロたちの技術が向上し、層も厚くなった時代においてアマチュアの優勝はほぼ不可能と思われていた、そんな時代に起こった快挙でした。

大人の世界に交じって緊張しながらも、若さゆえの純粋さを持ち合わせ、爽やかにそして自分の言葉で魅力的にコメントをする石川選手は「ハニカミ王子」と名付けられ、一躍国民的なスターへと上り詰めていきました。遼くん見たさにゴルフに全く関心のない層までも引きつけ、試合会場に大勢のギャラリーが押し寄せるようになりました。人気に陰りが見えてきた国内男子ツアーは、このまだ10代の石川選手を救世主として再び盛り上がりを見せるのです。