怖いのはシャンクによる予想外の大怪我

ゴルフを始める理由は人それぞれですが、「自分にボールが当たらないから」という人が存外多いのです。なるほど、野球でもサッカーでもテニスでも、おおよその球技では自分にボールが当たることがたしかにありそうです。ゴルフは止まっているボールを打つので、自分にボールが当たることは滅多にないかもしれません。激しい運動を伴うわけでもなく、その意味では、怪我の起きにくいスポーツと言えそうです。

ところが、全く事故が起きないかというと、そうでもないのです。実は毎年のように重大事故が起きていて、場合によっては障害が残ったり、最悪のケースでは死亡することもあります。

1990年代に行われた調査では、ゴルフ場での死亡事故は年間数十件あると推定されたことがあります。ゴルフを楽しむ高齢者は多く、かつプレー中に緊張を強いられることもあってか、心筋梗塞による突然死は少なくないようです。

プレー中、緊張したときや失敗したときなどに、心拍数が急激に上がる経験をしたことがある人も多いでしょう。運動自体は激しくなくても、ゴルフは心臓や血管に意外と負担をかけているものなのです。

また、お昼にはアルコールを飲むゴルファーが少なくないですが、これらの利尿作用も相まって、血液の粘度が高まり、ますます心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まりやすくなります。

ゴルフにおける怪我のリスクで、最も可能性の高いものは打球事故でしょう。とかくマナーに喧やかましいゴルフにおいて、一番のタブーはいわゆる「打ち込み」です。前の組に届く距離を打つのはもってのほかですが、隣のホールまで届くほどボールを曲げてしまうと、他のプレーヤーに当たってしまう危険は小さくありません。

隣のホールなどに打ち込んでしまった際は、その瞬間に「フォアー!」と大きな声を上げて危険を知らせるのがマナーです。声が聞こえたら、身をかがめたり木の陰に隠れるなどして身を守ります。

しかし、「フォアー!」のかけ声だけでは限界もあって、実際にボールが当たってしまい、なかには大怪我を負ってしまう事故が毎年発生しています。ゴルフ場にある怪我のリスクとしては最も重大で起こりやすいと言えるでしょう。

打球事故は他の組から飛んでくるボールだけでなく、意外と自分の組のなかでも起きます。特に、打つ人よりも前方にいる人にボールが当たってしまうことが少なくありません。怖いのはシャンク(※クラブのネックに当たるミスショット)して、右前方に鋭い球が飛ぶケースです。近距離であることも多く、警戒もしていないため、大怪我になりやすくなります。

もっとも、左前方に立っていても危ないことに変わりはありません。2002年には静岡県で、同伴プレーヤーが打った3番ウッドのショットが左へのライナー性の弾道となり、30ヤードほど前で自身のボールを探していたプレーヤーの頭部を直撃し、50歳の男性が死亡する事故がありました。