辞任して早く楽になりなさいといってやりたい
私は本心から、岸田文雄首相はかわいそうだと思っている。
宰相としての器でもリーダーとしての能力もなかった男が、前任者が音を上げて棚ぼた式に首相になったはいいが、どれ一つとっても「超難題」を同時にいくつも抱え、途方に暮れている姿は、哀れというしかないではないか。
近くにいたら抱きしめて、もうそんなに頑張らなくてもいいんだよ、辞任して早く楽になりなさいといってやりたい。
安倍晋三元首相や菅義偉前首相には、良くも悪くも開き直りがあった。ダメで元々、最後は俺が辞めればいいんだろう、という覚悟が見てとれた。だが、岸田首相には覚悟も開き直る度胸もない。
歴代首相の中には、無為無策の人間もいた。神楽坂芸者の3本指であっという間に首相の座から滑り落ちた宇野宗佑。小沢一郎の傀儡でしかなかった海部俊樹。クリントン米大統領に「Who are you」といったという“逸話”しか残らない森喜朗。
そうした歴代の「お粗末首相列伝」の中に、このままいけば岸田首相が名を連ねるのは間違いない。
統一教会問題で「質問権を行使する」と言明したが…
週刊誌は毎週、岸田政権批判をしているが、安倍元首相や菅前首相の時のような激しさはない。それは、この政権はしょせん「仇花」だと思っているからであろう。
10月17日から始まった国会中継を見ていると、野党の攻勢が目立ち、岸田首相は防戦一方である。国会に間に合わせるために思いついたのであろう、統一教会問題で質問権を行使すると言明はしたが、野党から「いつまでにやるのか」、時期を決めろという要求には逃げ続けている。これでは、「野党には“支持率ありきの節操なき転換”と映るだろう」(スポーツニッポン10月17日付)。国民が、この問題を忘れてくれるまで引き延ばそうという意図があると思われても致し方あるまい。
統一教会と政治家との癒着構造の解明には、安倍元首相と教団との関係の徹底検証が必須であるはずだが、岸田首相はそこも逃げ続けている。
今や「統一教会の申し子」(週刊新潮10/20日号)といわれ、新事実が明らかになると、「記憶はあったが記録がなかった」と迷言を吐く山際大志郎経済再生担当相は、今国会でも「記憶にない」を繰り返すだけだった。