強権政治の次は“無為無策”政権である
マイナンバーの普及が、ポイントをつけた大セールをやっても半数に届かないのは、私を含めた国民の多くが、マイナンバーカードという制度を便利だと感じていない、必要性を感じない、政府の個人情報の取り扱い方に不信感を持っているからである。
「笠に着るむかし赤紙いまマイナ」(朝日川柳10月15日付)
不信感をぬぐうための努力を放棄して、政府が決めたから問答無用で従えというやり方は、国民軽視、民主主義の否定である。
「河野氏はポイント付与を『邪道』と述べている。その通りだが、ならば既往の政策を反省し撤回したうえで、利点の説明と不安の解消という本道に戻るべきだ。ところが、より強権的な手法に頼るというのだから、あきれざるをえない」(朝日新聞社説 10月15日付)
安倍、菅と、国民軽視、強権政治が終わってホッとしたら、今度は、自分では何も決められない“無為無策”政権の登場である。強権政治は二度と嫌だ。だが、少しはましな人材が永田町にはいないのか。岸田首相を見ていると、そう思いたくもなるではないか。
第210回臨時国会が召集された10月3日、「岸田首相は衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。物価高対策に全力を挙げ、電気料金の負担を緩和する方針を示した。賃上げ対策では、学び直しの支援に『5年間で1兆円』を投資することを表明し、防衛力の抜本的な強化に取り組む決意も強調した」(読売オンライン10/03 22:23)
しかし、口先ばかりで、職責を全うする覚悟も見えない岸田首相の空々しい言葉は、国民の耳には届かず、秋空に虚しく木霊するだけである。