相手の素性など気にしないのが、政治家の普通の感覚
旧統一教会(現・世界平和家庭連合)と政治との関わりを見ていると、自民党議員の不誠実さを感じないわけにいきません。関連団体のイベントに祝電を打ったり出席したりした事実を指摘されたら、口をそろえて「旧統一教会との関わりは知らなかった。これからは気をつける」と言い訳しているからです。
政治の世界に長くいれば、どんな団体がどういう性格で、どんな人物が主宰しているか、簡単に調べられます。仮に反社会的勢力の場合なら、知らずに付き合ってもアウトです。反社とまでは認定されない団体についても、過去の反社会的な行為が問題になってきたかどうかは、すぐにわかるのです。
要するに、選挙を応援してくれたり票を回してくれるなら、誰であろうとかまわない。相手の素性など気にしないのが、政治家の普通の感覚なのです。これは、自民党の政治家に限った話ではありません。統一教会問題で自民党を激しく攻撃している立憲民主党の国会議員にも旧統一教会の応援を受けている人が複数いることが明らかになっています。国民民主党、日本維新の会に所属する国会議員も同様です。
自民党の調査で有権者が納得できないワケ
応援してくれる人や団体の背景がちょっと面倒そうだと思ったら、あえて調べないという本能が、日本の政治家には備わっているのです。調べてみて都合の悪い事情がわかるより、余計なことは知らないほうがいいわけです。
インテリジェンスの世界に、「need to knowの原則」があります。普通は、誰とでも情報を共有するのでなく、必要な人だけに与えるという意味で使うのですが、別のニュアンスで「必要な情報だけ知っておく」という使い方もあるのです。
自民党は、党所属の全国会議員に旧統一教会や関連団体との接点の有無を尋ねるアンケート調査を行いました。しかし有権者が納得するような結果を自分から申告してくるとは、とても考えられません。案の定、自民党が9月8日に公表した教団と「つながりが深い」とされる121人の名前の中に、教団との関係が報道されている議員の名前が「含まれていない」ことが問題になりました。