身の回りのものに感謝…心身共に健康に、寿命も延びる

6 逆境から立ち直る

感謝の心を持つと、逆境から立ち直る力が強くなる。110人の大学生を対象にした研究で、それが証明された。

50人の学生は常に感謝の心を持つように指示され、3カ月にわたって毎日そういう趣旨のメールが届いた。一方、残りの60人はそのような指示をされなかった。

その結果、常に感謝の心を持つように指示された学生は、他の学生に比べて、逆境に見舞われたときに立ち直る力が強いことがわかった。

7 寿命が延びる

もちろん、感謝の心を持ったからといって、不老不死が実現するわけではない。しかし、寿命を延ばすことはできる。きっとあなたは「どうやって?」と尋ねるだろう。

これまで見てきたように、身の回りのものにいつも感謝すると、より幸せを感じ、ストレスがやわらぎ、睡眠が改善し、心臓と脳の機能が向上し、免疫力が高まり、心身ともにより健康になるから、寿命が延びることにつながる。

また、さまざまな研究が、楽観的な人は悲観的な人より数年長生きする傾向があると指摘している。おそらくその理由は、楽観主義が視野を広げるのに対し、悲観主義は視野を狭めるという事実によるものだろう。

視野が狭まると、人生がうまくいかないときに適切な解決策を見つけることができず、ピンチを切り抜けるのが困難になる。その結果、心身の健康を損ない、寿命を縮めるおそれがある。

8 活力がわいてくる

意外かもしれないが、感謝の心は活力と密接な関係がある。この数年来、多くの研究がそれを証明してきた。

笑顔で握手し礼をするビジネスマン
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たとえば、238人を対象にした研究で、感謝の心と活力のあいだに明確な相関関係があることがわかった。研究者たちはその理由を見きわめていないが、この作用は、前述のとおり、感謝の心が熟睡につながり、逆境から立ち直る力を強め、心身の健康を増進することに由来すると見て間違いない。

当然、ストレスがたまると精神的に落ち込みやすいから、活力は低下する。心配事をいっぱい抱え、一晩中もがき苦しみ、生産性の低さに悩み、すこぶる機嫌が悪く、心身の不調にさいなまれているときも、活力は失われる。だが、そんなときでも感謝の心を持つと、活力がおのずとわいてきて人生に対して前向きになることができる。

さらに、感謝の心はドーパミンとセロトニンのレベルを上げる。このふたつの神経伝達物質は、自信と意欲を高めるうえで重要な役割を果たす。これらの「幸せホルモン」が体内を循環すればするほど、あなたはますます活力にあふれ、苦難や障害を乗り越える力をつけることができる。