離婚届
離婚を決意した西山さんは離婚届にサインし、母親には証人のサインをもらい、離婚届を持って夫の家を訪れた。そして泣きながら離婚届を夫に渡すと夫は、驚くべきことを口にした。
「やっとわかってくれたか。これ破いてもいい? 今からやり直そう!」
満面の笑顔で、離婚届を破ろうとしたのだ。
「『この人は何を言ってるの?』と言葉を失いましたね……。夫が異常者ということを、ようやく理解した瞬間でした。それはもう、ホラー映画の世界でしたよ。心底、『この人とは分かり合えない』『この人から逃れるにはどうしたらいいの?』と事の重大さを思い知りました」
絶句した西山さんは、われに返ると、「母もいろいろ考えて、せっかく証人になってくれたのだし、あなたがずっと待ち望んでいた離婚だよね? 一度よく考えてくれる?」と何とか説得を試みると、夫は「わかった」と言い、破かずにおいてくれた。
だが、それからというもの、夫の態度が一変。これまでは「離婚したほうがいい」との一点張りだった夫だが、LINEなどで頻繁に、「今度一緒に食事をしないか」など、復縁を示唆するようなことを言ってくるように。
そこで西山さんは、「離婚届にサインをして送ってほしい」とLINEする。途端に夫は、「やり直しじゃなかったの?」「絶対離婚なんてしない!」と怒り出す。それでも西山さんは、もう一度、「離婚届にサインをして送ってほしい」とLINEしたところ、「直接会って話そう」と返ってきた。