「取引先からのクレーム」まで入っている

これが文書の「見える化」です。文章をすべて読まなくとも画面をさっと見れば何を言っているかがわかるようになっていました。

さらに、動画も含まれていました。パワーポイント画面をクリックしたら、インタビューが流れました。それも出てきたのは社内の人間ではありませんでした。

取引先の人間が「トヨタのここを直してほしい」とか「トヨタにこんな要望を出したらちゃんと受け入れてくれた」といったインタビュー画面が流れるのです。

それも決して、トヨタ賛美ではありません。どちらかといえばトヨタに対するクレームです。それをちゃんと取材して発表するのです。ここまでやる会社はなかなかありません。

まるでテレビのニュースみたいになっていました。だから、見ていて面白い発表会だったのです。

現場の光景、匂い、空気を会議室で再現する

発表、プレゼンはチーム内でやり直すだけではありません。自主研を主催するカイゼン担当部署のトップに複数回、リハーサルを見せて練り上げるのです。そうして、インタビュー動画のような新しいメディアも導入し、退屈しないプレゼンができあがるのです。

トヨタの会議、発表会が面白いのはつねにカイゼンしているから。そして、写真、動画、インタビューなどを入れているのは「現地現物」を意識しているからでもあります。会議、打ち合わせ、プレゼンのいずれの場面においてもトヨタの人たちが意識しているのは現場です。

現場の光景を会議室に、現場の匂いや空気を資料のなかに持ってこなくてはいけないのです。

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