完全な準備よりも、走りながら修正する
そもそも仕事に取りかかる時、完全な準備をすることは不可能です。
「手順を一つずつ確認して、各工程に抜け漏れがないかを厳重に管理」しようと思っても、スタートしてしまえば必ず抜け、漏れは出てくるのです。
それよりも、めざすべき仕事の完成した姿を「大まかに決めたあとは『計画、設計、実装、テストの反復(イテレーション)』を繰り返し、一気に開発を完了させる」ことが現実的ではないでしょうか。
また、定例会議を頻繁に行うより、30秒打ち合わせを積み重ねていって、つぎはぎでいいから仕事を前に進めていくことでしょう。トヨタや成長しているベンチャー企業の会議、打ち合わせはこうした形で行われていると思います。
幹部が全員「作業服」姿で仕事をする理由
トヨタの役員、幹部が出席する会議は決して重々しい雰囲気ではありません。テレビで見られるような英国風インテリアの大会議室で行われるわけではなく、普通の会議室でしかも誰もが作業服姿です。
会長でも社長でも、トヨタの人たちは普通に仕事をしている時は作業服でやっていて、それを脱ぐと、ワイシャツもしくはポロシャツです。人前に出る時はスーツを着ていますけれど、そういう機会は稀と言えるでしょう。豊田市にある本社ビルの隣は工場です。周りにもいくつかの工場があります。経営幹部はいつでも生産現場へ出かけていくことのできる格好で働いて、会議もやっています。
大企業の幹部が全員、作業服を着ているのはそれほど多くないと思います。それくらい彼らは現場を大切にしています。大きなメーカーであっても本社はたいてい東京にあります。そういう会社は誰もがスーツ姿です。
では、そんなトヨタの役員会では何が議題となっているでしょうか。経営戦略、個々の問題なのでしょうけれど、役員はそれぞれの担当の業績を自慢することはありません。それよりも問題を提示します。