マスコミが批判したゴルフ外交の本当の価値

トランプさんと安倍さんは、しばしば、ゴルフをしました。日本では外国首脳とゴルフなどすると、だいたい良くいわれません。安倍さんの祖父の岸信介さんが、アイゼンハワー大統領とゴルフをしたときも、日本のマスコミは批判的に書き、嘲笑したものです。

トランプさんは、ビジネスマンとして、細かい話より、ゴルフなどしなから、相手がどこまで本気なのかとか、信用できるかとかを推し量りながら仕事をしてきた人ですから、こういう付き合いはとてもいいのです。

ただ、岸信介元首相も、マスコミも見ているなかで第1打を打つときには、人生でもまれなほど緊張したそうですし、安倍さんも同じだったそうです。

トランプ大統領が来日したときには、徹底的にトランプ大統領の趣味に合わせた接待で、喜ばせました。とくに、枡席を改造までして行われた大相撲見物で、観衆からも暖かく熱狂的な歓迎を受けたことは大統領を喜ばせました。

「トランプ大統領の制御に最も成功した指導者」

このトランプとの良い関係について、安倍さんが退陣したとき、あるいは、亡くなったときに多くの賛辞が寄せられました。

メルケル首相が、「安倍首相は常に多国間主義に向けて努力してきた。日独間の距離にかかわらず、両国は基本的価値を共有していることを示した」としているのは、こうしたことを評価したものです。

フィナンシャル・タイムズ紙は、「日本の外交政策に『ルールに基づく世界経済秩序の擁護者』という新たな役割を持ち込み、法の支配へのコミットメントを共有するアジアでの連携を追求した」としました。

米紙ワシントン・ポストの外交・安保専門コラムニスト、デビッド・イグナチウス氏がコラムで安倍さんを次のように賞賛しました。

「安倍首相はトランプ大統領の変則的な行動を制御することにかけて、世界で最も成功した指導者で、日米に利益となる合理的な政策のため、絶妙にトランプ大統領を言いくるめた」
「日本の対米貿易黒字を批判して防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りにしていた」
「安倍首相は在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに感謝していると説得した」
「トランプ大統領の在韓米軍撤退を引き止めることができた」