2022年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2022年4月18日)
私たちの老後にはいくら必要なのか。会計学博士の榊原正幸氏は「60歳で資産が5000万円あり、年220万円の年金があっても、年間支出500万円なら84歳までに破綻する。何歳まで生きても収支がプラスになる運用能力を身につけることが必要だ」という――。
※本稿は、榊原正幸『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
「人生100年時代」は本当にやってきているのか
「人生100年時代」という言葉をイヤになるほど耳にします。
「人生100年時代」という言葉は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット共著、池村千秋訳、東洋経済新報社)という著作で2016年末に一気にブレイクしました。それによると、2022年の時点において10代半ばの人のうちの2人に1人は107歳まで生きる可能性がある、というのです。
そのことが独り歩きをして「人生100年時代」という言葉が跋扈するようになりましたが、冷静に考えれば、現在30歳以上の年齢の人たちは依然として100歳まで生きる可能性は半分以下ですし、10代半ばの人にしたって、「2人に1人」しか107歳まで生きないわけです。しかも107歳まで生きた人が、猛烈に元気で120歳や130歳まで生きるのかというと、そういうことではないでしょう。
2022年の時点において10代半ばの人が107歳まで生きた時というのは、今から90年後という想像を絶する未来のことなので、その頃には医療が超絶進歩していて、107歳まで生きた人が、猛烈に元気で120歳や130歳まで生きることができるようになっているのかもしれません。でも、それは今の段階ではまったくわかりません。