5パターンが悪化した「対話ゼロで、ただちに多数決病」

以上で見てきた病が進行すると、「究極の病」にかかってしまいます。それが、「対話ゼロで、ただちに多数決病」です。あなたのチームが、次のようなプロセスにはまっていたら、注意が必要です。

①「個人で考えをまとめること」をせず、意見をお互いに言わない
②意見を言ったとしても、誰かがすぐに全否定して立ち消えてしまう
③「たまたまふってわいた意見」に、皆で形式的に同調して、集団で「いいね、いいね!」と騒ぎ出す
④「とりあえず、多数決取ろう!」と誰かが言い出す。「決め方」について考えることなく、安易にアンケートフォームを使って意見を集める
⑤しかし、結果には、あまり納得感がない。方向性が決まった後で、具体的に物事を実行していく段階になると、不平や不満がプスプス生じる
⑥最終的に「私は知らない、関係ない」と言い出すメンバーが出てくる

中原淳『話し合いの作法』(PHPビジネス新書)
中原淳『話し合いの作法』(PHPビジネス新書)

これでは「物事が決まっているようで、決まっていない」「決まってはいるんだけど、動かない」という状態になり、手に負えません。メンバーからは愚痴がでます。話し合いなんか無駄だ。決まっても、動かない。だから「話し合いなんか、意味がない!」……。

相当な重症ですが、少なくない人々が、この「対話ゼロで、ただちに多数決病」に罹患している気もします。誰かが「とりま、多数決でしょ」と言いはじめたら、危険な兆候です。

しかし、こういうさまざまな病、症状に罹患しているからといってあきらめてはいけません。これから話し合いの作法を学び直していけばいいのですから。

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