「人と違うことが怖かった」試練を幸福に変えた秘訣

私は、良太が生まれるまでは、自主性がぜんぜんない人間でした。いつも不安で、まわりに流されて、みんなと一緒であることに漠然とした安心を感じていました。そのまま時を過ごしていたら、どうなっていただろうと恐ろしくなります。

良太のおかげで、なんとかなるさという楽観と、後先を考えない努力で、道を切り開いていく力を身につけることができました。それは人として、とても大切な力だと思います。

岸田ひろ実『人生、山あり谷あり家族あり』(新潮社)
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人と違うことに怯えていたけれど、良太が大人になった今、気づきました。

人と違うこと自体が、マイナスでも、不幸でもないのです。その違いを理由に、一人ぼっちになってしまうことや、つらくて惨めな思いをしてしまうといったことが、人によっては不幸になるのです。

そもそも人は、生まれながらにみんな違います。歳を重ねれば重ねるほど、多くの違いと出会い、衝突し、悩みます。

人との違いを嘆くのではなく、違ってもこれでいいと良太が思えるような環境を作ることが、私たちが試練を幸福に変えてゆく秘訣だったのです。

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