上司へのホウレンソウ(報告、連絡、相談)をスムーズにこなすにはどうすればいいのか。グロービス経営大学院客員准教授の河野英太郎さんは「たどたどしく説明すると、自信のなさが相手を不安に陥れ、重箱の隅をつつくような質問攻めにあってしまう。ホウレンソウでは自信たっぷりに振る舞うべきだ」という――。

※本稿は、河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

オフィスで議論するアジアのビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
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プライミング(呼び水)効果をうまく使うべき

組織で仕事をする際に欠かせないのが、報告、連絡、相談(ホウレンソウ)です。ホウレンソウの場面には、仕事がうまくいくちょっとしたコツがたくさんあります。

上司にホウレンソウをする前に、「すみません、まだ準備不足なのですが」とか「うまく言えないのですが」などと言い訳をしてしまうことってありませんか?

実はこれ、確実に逆効果です。無意識にこうした枕詞を習慣として使っているなら、今すぐやめるべきでしょう。

私は以前、こんな実験をしたことがあります。

(A)「まだ不十分ですが」と、(B)「結構うまくまとまっていると思います」という言葉を頭につけたメール(内容は同じ)を別々のグループに送るという実験です。結果はものの見事に分かれました。

(A)のメールには寄ってたかって「もっと考えてから持ってこい」とか、「こことここがダメ」といったネガティブなコメントが返ってきました。

一方、(B)のメールには「いいね」「お見事!」「こうするともっといいかも」といったポジティブなコメントが返ってきました。内容は同じにもかかわらずです。

これは、人間が持っている「先入観」によるものです。心理学ではこれを、プライミング(呼び水)効果と言います。

「効く」と聞かされて薬を飲んだ場合と、薬と知らないで飲んだ場合の効果の違いに関する実験が有名ですが、ビジネスでも、自信があるという暗示を最初にかければ、相手からはポジティブな反応が返ってくるものです。