UPFは「政治と宗教の指導者が力を合わせる組織」
——ただ、安倍元首相は、他の政治家が「旧統一教会のプロパガンダになる」と参加を断った、UPFのイベントにビデオメッセージを送ったという事実があります。これを知った山上容疑者が犯行を決意したといわれているように、多くの人はこれこそが「安倍3代と教団の蜜月関係の証拠」だと感じています。これについてはどう考えますか?
【梶栗】実はそこが、私たちが安倍元首相の名誉のためにも声を大にして反論したいところです。マスコミの報道では、「安倍元首相が旧統一教会系団体のイベントにビデオメッセージを送って、教団トップの韓鶴子氏を持ち上げた」という話になっていますが、事実は全く違います。
安倍元首相は政治家としてUPFの活動を評価して敬意を示してくれただけであって、旧統一教会という教団の活動を応援する意図はまったくありません。
それをわかっていただくためには、そもそもUPFという団体と、安倍元首相がビデオメッセージを送ってくださったイベントについて正しく理解をしていただきたいと思います。
そもそも文鮮明総裁がなぜUPFを立ち上げたのかというと、教団の布教などは全く関係なく「国連の刷新」のためでした。
今のウクライナの現状を見てもわかるように、国連には国家間の紛争解決をすることがなかなか難しいところがあります。これはやはり大きいのが、ロシアや中国という共産主義・専制主義の国が、国連の安全保障理事会で拒否権を持っていることです。文総裁はこれを「国連の生まれながらの限界」とかなり以前から問題視していました。
そこで訴えられたのが、それぞれの国の利益を超越したもっと高い見地から、人類全体の利益、つまりは「人類益」を考える組織の必要性です。
各国の政治指導者が国連に集っても結局、自国の利益を代弁するだけで世界平和は実現できません。そこで文総裁は、国家にとらわれることなく人類社会全体の平和を目指すためにどうすべきかを論じるために、世界の精神世界の指導者たちが集うべきだと考えました。それが国連における上院のような役割を担って、現実世界の問題を解決する政治指導者と、精神世界の問題を解決する宗教指導者が力を合わせれば、世界平和を実現できるというわけです。
そのような理念の下で、1999年に「世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)」が創設され、2004年に国連経済社会理事会の特殊協議資格のステータスを持つNGOとして認定されました。それが2005年に「UPF」となりました。現在、UPFは国連NGOの中で最もステータスの高い、総合協議資格を与えられています。