仕事のできる人は職場でどんなコミュニケーションをしているのか。プロコーチの林健太郎さんは「黙って話を聞けない人は大損している。仕事でなによりも大切な事は、相手の話を丁寧に受け取ることだ」という――。
※本稿は、林健太郎『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか? 職場の心理的安全性が高まる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「部下の愚痴なんて、聞いている時間はない」と思っている
「林さん、どうして部下の本音なんて聞かなくちゃいけないんですか? 部下の愚痴なんて聞いている時間はありませんよ!」
これ、上司の方たちからよく聞く言葉です。
こういう方たちは、ご自身が会社や職場に対して不平不満が多いのでしょうか。
なぜか、「部下の本音」イコール「部下の愚痴」だと思い込んでおられる。
たしかに、愚痴だと決めつけてしまったら、聞いても意味がないと思ってしまうかもしれません。でも、考えてみてください。
百歩譲って、部下の本音がただの愚痴だったとしても、その愚痴を上司がしっかり受け止めてくれたら、なんだかスッキリとしてパフォーマンスが上がると思いませんか?
例えば家庭内のゴタゴタとか、会社とまったく関係のない心配事があるだけでも、仕事のパフォーマンスはガタ落ちになるのが人間だったりします。
だからこそ、上司は部下の「一見、愚痴に聞こえる言葉」にも耳を傾けて、部下のプライベート……例えば、家族構成や通勤経路のようなことまで知っておくに越したことはないのです。
知っていれば、「彼が今、元気がないのは息子さんの受験の件で悩んでいるのかな」とか、「彼女の出社が遅れているのは、○○線の事故の影響かな」などということもわかるようになって、適切な声がけが可能になります。それが、信頼関係につながるのです。
それに、いっさい上司から話を聞いてもらえなかった部下が、昇進してリーダーになったら、いっさい部下の話を聞かないリーダーになると考えたら、少し怖いと思いませんか?