私たちの脳は、寝床に入ってからおよそ10分程度で眠りに入るようになっています。目を閉じてからウトウトとまどろむ時間があり、意識が徐々に薄れていって、眠りに入ります。ところが、睡眠負債がたまっていると、目を閉じて横になった途端に眠ってしまうことがあります。

「寝つきがよくていいじゃないか」と思うかもしれませんが、そうではありません。これは眠いのに無理やり起きているため、刺激が途切れた途端にふっと眠ってしまっている状態。こういうときは、日中のパフォーマンスは低下していることが多いのです。

大切なのは起床時間を揃えること

【三輪田】布団に入って数分でスグに寝つけるにもかかわらず、疲れが取れない、日中眠くなるという人は、睡眠負債が溜まっている証拠。忙しくてなかなか睡眠時間が確保できないという場合でも、分単位で睡眠時間を増やしてトータルの睡眠時間を延ばすことで、改善される可能性があります。

小林弘幸、三輪田理恵『なぜ、あの人はよく眠れるのか』(主婦と生活社)
小林弘幸、三輪田理恵『なぜ、あの人はよく眠れるのか』(主婦と生活社)

仮に、1日10分睡眠時間を延ばせば、1カ月でトータル5時間、1日15分睡眠時間を延ばせば、1カ月でトータル7.5時間、睡眠時間を増やせることになります。チリも積もれば……ということで、寝つきはいいし、生活リズムもつくれている、それでも日中に眠気がでるという人は、ぜひトータル睡眠時間を延ばす工夫をしてみてください。毎日の就寝時間を揃える必要はありません。

大切なのはむしろ、起床時間を揃えること。少しでも早く眠れる日は10分、15分でもよいので早く就寝し、累積睡眠時間を延ばせるようにしましょう。日々の積み重ねが、睡眠負債の解消につながります。

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