各家庭に抗原検査キットを無料配布してもいい

それには以前にも記したように、動線が分離できない診療所では輪番制で発熱外来を回すといった工夫もあるだろう。そして診療と検査が実施可能な発熱外来を行っている医療機関名を行政がすべて情報公開することで、限られた医療機関に患者さんが集中しないようコントロールすることも必要だ。

ただでさえ発熱者を受け入れる医療機関が少ない状況で、診療所レベルでのクラスターが続発してしまえば、まさに水際の医療提供体制から崩壊してしまうことになる。緊急に初期診療を行う体制を充実強化させる策を講じなければならない。

そして医療体制の整備とともに、それでも種々の事情で医療機関に到達できない人、貧困ゆえに市販のキットの入手をためらわざるを得ない人などが診断されぬまま放置されることがないよう、各家庭に抗原検査キットを数個ずつでも無料配布するのも一案だ。医療機関の負担軽減、医療資源の無駄使いを防ぐ意味でも、これらの自己検査で陽性ならば医療機関で改めて検査せずとも診断確定としてよいとの認識も、行政には再度示していただきたい。

高原検査キットを使用している手元
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
※写真はイメージです

「行動規制と自粛」だけの対策はもう意味がない

そしてこれも以前から、コロナ上陸前のインフルエンザ対策の頃から言い続けていることであるが、検査の有無、検査結果が陰性、陽性かかわらず、具合の悪い人は休む休ませる、そして休んでも収入を心配せずに療養できるよう国が責任をもって補償する、これが非常に重要だ。

感染急拡大局面の今、この感染拡大を止めるために重要なのは、無症状者を含めた全国一律の行動制限ではなく、有症状者をいかに休ませるかに尽きる。そして有症状者に対していかに迅速かつ遺漏なく早期診断・早期治療を行うことで重症者の増加を防ぐか、これこそが医療崩壊を回避し、ひいては市民の命を守ることにつながると言えるだろう。

コロナが蔓延してもはや2年半が経過するというのに、感染が拡大するたびに一律の行動規制と自粛のみ。本稿で述べた当然なすべき最低限の対策すらいまだできていないというのは、明らかに失政といえるだろう。

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