年間生活費25倍の資産を用意できるか

FIREの実現を考える上で、2つのポイントがあります。「①どうやって年間生活費25倍の資産を用意するか」と、その後に「②年間4%の運用益をきちんと出し続けられるか」です。

まずは②から説明させてください。確かに4%という数字は、過去のアメリカ経済の成長から出した“平均”ですが、平均はあくまで平均です。年ごとに差はあり、毎年安定して4%の数字が出るわけではありません。

今年のように、10%やそれ以上の大きさで、アメリカ市場が下落する年も出てきます。仮に1億円の資産を確保した人が、FIREをして2、3年後に10%の下落相場に当たったらどうなるでしょうか。おそらくパニックに陥るでしょう。

投資の知識がなければ焦って売ってしまったり、他の株を買ったりするかもしれません。そうしてさらに資産を減らす可能性があります。相当な知識と下落相場にも動じない精神がなければ、②を行うのは簡単ではないでしょう。

それ以上に難しいのが「①どうやって年間生活費25倍の資産を用意するか」です。

街中の階段に一人で座っている男性
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積立投資で会社員は辞められない

FIREを目指す人の話を聞いていると、②の部分と混同しているのか、インデックス投資によって25倍の資産を築こうと考える人がいます。すでに相当な資産を持っていて、わずかに額面を増やせば25倍に届くならそれでもいいでしょう。

しかし、いまの資産の桁を1つ増やす、あるいはもっと膨らませないと生活費25倍の資産に届かない場合、インデックス投資で実現するのは厳しいでしょう。インデックス投資の成長は緩やかだからです。早期リタイアどころか定年まで会社員として働くことになります。それは過去の値動きを見れば明らかで、VTIも2013年から今年初めの最高値までで約3倍しか上がっていません。

投資は目的を定めて、それに合う手法をとることが大事です。資産を10倍近く膨らませるのが目的なら、手法としてインデックス投資を選択するのは間違いだと言わざるを得ません。

「小型株集中投資」で会社員を早期リタイア

では資産を大きく増やすためにどうすれば良いか。個々で考えるべきですが、参考として私が行った手法を紹介します。それは「小型株集中投資」です。

投資を始めたのは大学生の時でした。家庭教師のバイトで貯めた30万円でFX(外国為替証拠金取引)でした。これが全財産でしたが、2週間ほどで溶かしてしまいました。その失敗を踏まえ独学で勉強し、アルバイトで貯めたお金を投資に回してきました。