新卒でスタートアップに入りました。初任給20万円台前半で、取り立てて資産があったわけではありません。本格的にやり始めたのは社会人になってからです。小型株への集中投資を通じて26歳には資産が数千万となり、会社を退職。投資家となりました。20代後半で資産額は1億円に達しました。

この資産拡大の手法となったのが「小型株集中投資」です。時価総額の低い小型株を数銘柄、多くても5銘柄選び、資産を集中させる投資方法でした。

この手法を選んだ理由はシンプルです。私は自由になりたくて投資を始めたので、資産の桁を増やすことが目標でした。つまり10倍以上にしたい。ただ、大型株は株価が10倍になることはきわめてまれです。すでに事業が成熟しているためです。その中で、株価が10倍以上に成長するケースを分析し、小型株に行きつきました。

これは自分で調査したデータですが、2019年版の『会社四季報』に「時価総額増加ランキング」が出ています。株価10倍以上になった企業は68社、そのうち93%は時価総額300億円以下、70%が100億円以下でした。

成長が期待できる企業の共通点

そのほかにも、株価10倍になる銘柄の共通点がありました。75%が創業社長の企業ということです。こういった分析を行い、株価10倍の可能性がある銘柄の条件を確立。当てはまる企業に投資していきました。

詳しくは過去の著書にも書きましたが、その条件をいくつかあげると、先述した創業社長に加えて、その社長が現役かつ筆頭株主であること。また、役員クラスが自社株を持っていることも大切です。経営陣が株価の上昇を意識した経営を行うからです。投資家と利害関係が一致すると言えます。

また、優秀な人材の集まる会社は間違いなく伸びます。優秀の定義は難しいですが、ひとつの判断基準として、高学歴の社員が集まる会社を重視します。人材難のこの時代では非常に重要です。

手に芽吹いた植物を持つ人たち
写真=iStock.com/katleho Seisa
※写真はイメージです

そして何より、その企業の商品・サービスが世の中に価値を提供していること。また、市場に伸びしろがあることです。

これらの要素をもとに、私が実際に投資して株価10倍以上になった銘柄に「北の達人コーポレーション」「ペッパーフードサービス」「ミクシィ」「ユーグレナ」「ファンコミュニケーション」などがあります。

どのように銘柄に注目したのかそれぞれ違いますが、ひとつ例を挙げるなら「北の達人コーポレーション」はわかりやすいでしょう。同社の事業は健康食品などのネット販売で、それ自体はよくあるのですが、利益率とリピート率の伸長に目を引くものがありました。何より、成長の“再現性”があったのです。