AP Images=写真
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ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼グループCEO 平井一夫(ひらい・かずお)
1960年、東京都生まれ。国際基督教大学卒業後、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。2007年より現職。09年4月からソニー執行役EVP兼務。


 

ソニーの次期社長候補であり、ハワード・ストリンガー会長兼社長の秘蔵っ子だ。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)社長とソニー本体の執行役EVPを兼務し、ストリンガー氏の肝煎りで新設されたパソコンやゲーム、ウォークマンなどネットワーク対応製品事業を統括する。

CBS・ソニー出身でSCE米法人社長を務めた。英語が堪能でプレゼンテーション能力が極めて高く、北米では「Kaz(カズ)」の愛称で知られたソニーのゲーム事業の顔だった。

ニューヨークを拠点に活動してきたストリンガー氏にとって、ソニーは映画や音楽、ゲームなどソフトとハード(エレクトロニクス製品)、さらにはネットワークが融合した企業体。エレキ事業一辺倒の東京本社に不信感を抱くストリンガー氏の心中を察してきた側近ともいえる。ストリンガー氏は「(自分の下に)次のレイヤー(階層)を設ける必要はない」と言い放ち、中鉢良治社長(当時)を事実上、更迭。ソニーを支える「四銃士」として、平井一夫氏に加え、吉岡浩副社長、石田佳久SVP、鈴木国正SVPを選んだ。

吉岡副社長が担当のエレキ事業を立て直せば、次期社長最有力となるが、ストリンガー氏の意中は平井氏ともいわれる。「エレキ事業の吉岡とソフト・ネットワーク事業の平井」の社長レースはソニーの将来像を占う。

ゲーム事業では、薄型・軽量化を図り、価格も抑えた新型プレイステーション(PS)3の発売に加え、11月にはネットワーク重視の携帯ゲーム機「PSP go」を国内投入するなど年末商戦に向け、攻勢をかける。

PSの生みの親、久夛良木健氏の後を継いだ48歳の若きリーダーがソニー社長の座を射止められるか。打倒任天堂が最初の関門となる。

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