しかし、第1回目のプレゼンは失敗に終わる。サウナバスを実際に利用する場所があるのか、どれだけ需要があるかなど、今後の展望が描けていないと指摘を受けたのだ。

そこで松原は2カ月後に再プレゼンの日に備えて、リゾート施設や健康ランド等への営業活動を行う。また、Twitterでサウナバスの公式アカウントを立ち上げ、サウナバスの製作にかかわる情報を発信した。

具体的な設置先の見込みができたことやSNSでのユーザーの好感触なリアクションが認められ、2回目のプレゼンで1000万円の資金を調達することができ、サウナバスの製作資金として充てることができた。

「お金を受け取って支払って……。まさに自転車操業で、なんとか繋ぎとめていました」

こだわりのサウナを作るために魔改造

資金繰りに目処が付いた。次の課題は路線バス車両の確保だ。松原は神姫バスから2021年3月に引退した路線バスを1台購入。入手したバスは現在の路線バスとは内装が異なり、座席シートがチェック柄で全体的にアンティーク感が漂う。

座席シートはチェック柄。
筆者撮影
座席シートはチェック柄。

松原は「引退した路線バスを使うなら、内装をレトロな感じにしよう」と考えていたこともあり、バスを一目見て「コンセプトにぴったりだ!」とテンションが上がった。

さっそく製作に取り組もうとするも、サウナバスは国内事例がなく、誰に依頼すれば良いのかもわからない。専門知識がほとんどない手探りの状態で進めるしかなかった。

こだわりのサウナを作るためにバスを魔改造

そんな中で大きな助けとなったのが、松原の企画を面白がってくれるサポートメンバーだった。

SNSで松原と意気統合したサウナ検索サイト「サウナイキタイ」の運営メンバー・かぼちゃさんは、サウナバスの全体的な内装デザインやアイデア出しやサウナ器具の手配に尽力した。

「サウナベンチに既存の座席レイアウトを活かすなど、バスの良さを活かしたアイデアデザインを提案してくれました。フィンランド製の本格的な薪ストーブを使用する案を出してくれたのも、かぼちゃさんです」