会社の名前は、「リバース」。「RE BUS(バスの再生)」と「RE BIRTH(生まれ変わらせる)」の2つの意味を社名に込めた。

社名には、バスの再生と、生まれ変わらせるの2つの意味を込めた。
筆者撮影
社名には、バスの再生と、生まれ変わらせるの2つの意味を込めた。

資本金は、自己資金とともに新入社員の頃からお世話になっていた社外メンター(企業外にいる人材育成のプロ)からの支援金を足した40万円。自己資金を出したからこそ、松原は「絶対にどうにかせな。赤字で終わらせられない」と思った。

ちなみに、会社立ち上げの同月に松原は結婚式を挙げている。「式の費用も重なって1カ月の出費が飛びすぎて、さらに沁みましたね」と松原は笑った。

膨れ上がった見積書、自転車操業の日々

会社を設立し、出向起業の補助金を申し込んで一安心……と思いきや、サウナバスが完成するまで資金繰りに苦しむことになる。

サウナバスの製作の見積書を作ると、最初は800万円だった。しかし、具体的に進むにつれて、見積もりを計算していくとどんどん金額が膨れ上がり、最終的には1000万円以上になった。

出向起業への補助金は7月に採択されていたが、最大でも費用の2分の1の金額だ。しかも、事業が完了するまで補助金を受け取れないという後払い制である。このときの松原の手元には、ほとんど資金がなかった。

しかし、サウナバスを製作するパートナーには前金を払う必要があった。それができないため、松原は「新しい会社なので、ちょっとだけ待っていただけませんか……」と頭を下げた。幸い、一部のパートナーは状況をくみ取って支払いを待ってくれたが、すべての取引先がそうしてくれるわけではない。

そこで、松原は資金を支援する機関に出資の申請を行うがなかなかうまくいかず、泣く泣く親族に頼み込み、100万円を借りてやりくりした。

それでもお金が足りず、神姫バスが出資しているCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)ファンド「S5(エスファイブファンド)」からの資金調達することにした。

コーポレート・ベンチャーキャピタルファンドとは、成長が見込まれる新規企業に出資する仕組みのこと。「投資家が運営するファンドだからこそ、資金調達できるかもしれない」と松原は思った。さっそくS5にプレゼンを申し出た。