サウナ愛に溢れるかぼちゃさんは、松原と会うたびに「思いついたんで作ってみました」と、バスのシートに使われているチェック柄をモチーフにしたバッジやミニタオルなどのグッズサンプルを持参して、松原を驚かせた。

薪ストーブはフィンランドのサウナメーカーHARVIAのLegendシリーズを採用。サウナストーンは240kg。
筆者撮影
薪ストーブはフィンランドのサウナメーカーHARVIAのLegendシリーズを採用。サウナストーンは240kg。

サウナの施工は設計事務所「OSTR(オストラ)」や建築会社の「アトリエロウエ」、そして神姫商工の整備士が手がけた。2022年1月頃から約2カ月間、週3回ほど神姫商工に集まり、チームで確認し合いながらの作業となる。

例えば、サウナ室となるバスの後方部分。設計士は、タイヤの上の部分にシートを設置するため「天井との距離が狭すぎるのではないか」と心配したが、かぼちゃさんからは「サウナ愛好家としては、サウナ室は天井が低ければ低いほどいい」とのことだった。設計士の目線では懸念点であっても、サウナー(サウナ愛好家)にとってはむしろメリットだったのだ。

降車ボタンがオートロウリュボタンになった。
筆者撮影
降車ボタンがオートロウリュボタンになった。

神姫商工の整備士は、バスから撤去したパーツをすべて取り置いてくれた。チームは並べられたパーツをひとつずつ眺めながら、「このバスのウォッシャーノズルは、ロウリュ放出部分に使えそう」「降車ボタンをオートロウリュボタンにすると面白いかも」「つり革を温度計にできそうだね」などと自由な発想を出し合い、次々に形にしていった。

まるでミュージシャンが即興セッションをするように、アイデアと工夫が飛び交う。松原は当時のことを、「とにかく人に恵まれましたね」と振り返った。