燃え尽きる人は「無理をしていること」に気づかない

以上を踏まえ、燃え尽き症候群のリスクを減らすための視点から、以下にチェックポイントを挙げます。ご自身の職場環境をチェックしてみてください。

・各従業員の仕事量が管理されているか

上司やリーダーは、従業員それぞれの能力と抱えている業務、現在の進捗を把握しているとよいです。業務の負荷が特定の従業員へ偏っていないかを把握し、必要に応じて業務の割り当てを見直すことが求められます。優秀な従業員だからといって、一人に業務を集中させることは燃え尽きのリスクを高めるため避けなければなりません。

・休憩時間の確保を促しているか

燃え尽きの危険がある人は、自分が無理をしていることに気づいていないことが多いです。会社側から休憩時間の確保を推奨することはもちろんですが、休憩をとれていない従業員がいる場合は声かけするなど直接的な働きかけができるとよいです。

ノートパソコンの上にメガネを置いて、コーヒーで一服
写真=iStock.com/kyoshino
※写真はイメージです

テレワークではコミュニケーションの機会がより重要に

・従業員同士のコミュニケーションがとれているか

燃え尽きは徐々に進行していきます。日頃から従業員間のコミュニケーションがとれていれば燃え尽きる前に気づける可能性が高くなります。ミスが増えた、対人関係を避けるようになった、皮肉な発言が増えた等、それまでとは異なる行動や言動が増えたなどの変化(燃え尽きの兆候の可能性があります)に気づけるような下地作りを日頃からしておくことが大切です。

テレワークなどを導入している場合には帰属意識が希薄になりやすいため、より意識的にコミュニケーションの手段や機会を設けることが大切になります。定期的に情報共有をする、ビジネスチャットツール等を導入しいつでも連絡が取れる環境をつくる、1on1ミーティングの実施などが挙げられます。

・従業員が評価に対して納得感を得られているか

人事評価制度は仕事へのモチベーション維持において重要な役割を果たします。評価基準が不明瞭であることや、成果のみが重視され過程に対する評価がされないことなどは従業員が不満を抱く原因となります。人事評価基準を公開することは義務ではなく企業の考え方に委ねられていますが、燃え尽きリスクの観点からは、評価基準を明確にし、評価のフィードバックが丁寧になされる方が好ましいと考えます。

ほとんどの場合、燃え尽き症候群から立ち治るには多くの時間を要するため、燃え尽きを生じさせないことが大切になります。燃え尽き症候群は個人ではなく組織の問題と捉えて、職場全体で予防の意識を持てるとよいでしょう。

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