※本稿は、小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
能力やセンスより自律神経のバランスが重要
自律神経のはたらきが心身に密接に関係していることは、私たちの自律神経研究チームが開発した測定解析機械を用いた研究によってすでに医学的に立証されています。
仕事ができる人、成果を出せる人は、生まれついての才能だけで決まっているわけではありません。むしろ、持って生まれた能力や才能、センス以上に、自律神経のバランスが整っているかどうかのほうが重要である、と断言してもいいでしょう。
思考のスピードや柔軟性、判断力、周囲を冷静に見渡し、円滑にコミュニケーションする力などは、自律神経のバランスが整って初めてフルに発揮できるものだからです。
性格についても同じことがいえるのではないでしょうか。
嬉しいときは大はしゃぎするが、少しでも嫌なことがあると一気に落ち込んでしまう。些細なことでカッとなり、怒りが抑えきれずに爆発してしまう。このように感情がジェットコースターのようにアップダウンしてしまう理由を、「あの人はそういう性格だから」の一言で片付けてしまってよいのでしょうか?
私はそうは考えません。喜怒哀楽のアップダウンが急激でそれに振り回されてしまう人でも、自律神経のバランスがきちんと整いさえすれば改善される部分が少なくないはずです。
性格は親から受け継いだ遺伝子や家庭環境などの複合的な要因によって形成されるものです。しかし、自律神経のバランスの不具合が続き、不調が長引けば外から見える「性格」もおのずと影響を受けて変わります。
ずっとイライラしてしまう、不安が拭えない、だるくてやる気がしない、なんだか息苦しさが続く。
これらは単純な「性格」ではなく、自律神経のバランスが乱れた結果、体が心を支えきれなくなった状態なのかもしれません。