周囲の人間を傷つける失言や暴言は、どんな人がどんなときに発しているのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「失言や暴言は、たいてい早口から生まれている。それは早口になると、自律神経が乱れやすいからだろう」という――。

※本稿は、小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

コンピュータを前に驚いている女性
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35歳を過ぎるとはじまる体の不調とどう向き合うか

生物学的に見ると人間の体の機能的ピークは、20~35歳の時期だといわれています。

この時期は骨の強度が一生のうちでもっとも強く、すべての器官がスムーズにはたらきます。

肉体的にも多少の無茶が利くし、疲れからの回復も速い。

食事バランスや運動などを意識せずとも、日々を元気に過ごせる。

幸運にも大病をしないまま中年になった多くの人にとっては、こうした状態が35歳頃までの「普通」だったのではないでしょうか。

ところが、40代、50代と年齢を重ねていくと、どんなにタフな人でも次第に体に無理が利かなくなってきます。

肌の水分が失われるため、シワが増えていきます。目のかすみや老眼、聴力の衰えなども徐々に始まります。一晩寝ても疲れが取れない日も珍しくないでしょう。

内臓の消化機能も衰えていくため、かつては好物だった揚げ物や丼物、こってり系ラーメンなどのボリュームのある食事もつらくなってきます。

小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)
小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)

一方で、日本人の平均寿命の数値はいまだに延び続けています。厚生労働省の最新の調査(「令和2年簡易生命表」)によると、女性は87.74歳、男性は81.64歳と男女ともに過去最高を更新しました。

しかし、いくら平均寿命が延びても、医学の技術が進歩しても、人間の生き物としての体のピークが20~35歳であることは変えられません。個体差はあっても、ヒトという生物を見たときにこの平均値は動かせません。

つまり、「元気が普通」でいられるボーナスタイムは、人生序盤のわずかな期間だけにすぎないということです。

現代人は体の機能やコンディションが衰えてから生きる時間のほうが、ずっとずっと長いのです。