「にっこり笑顔」で簡単に自律神経は整う

本書で述べているように、自律神経は「意思とは関係なくはたらくもの」です。

自律神経は外からは見えず、手で触れられません。筋肉と違って「きたえる」こともできません。さらに、老化によって何もしなければ副交感神経のはたらきは着実に下がっていきます。

けれども、日常の行動パターンや習慣を変えることで、自律神経を「コントロール」することは誰でも可能です。

自律神経のバランスを整えるもっとも手軽な方法を一つご紹介しましょう。

それは「笑う」ことです。

ビジネスウーマン
写真=iStock.com/Asia-Pacific Images Studio
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「あれもこれもやらないと」と焦ってパニックになったとき、大事なプレゼンを前に緊張したとき、イライラしているときなどは、あえて笑顔をつくってみましょう。

不安や怒りを感じると、全身の血管が収縮し、血流が低下します。肩に力が入り、呼吸は無意識に浅くなるため、柔軟な動きもできなくなってしまいます。このとき、体の中では交感神経のはたらきが高まり、副交感神経のはたらきが弱まっている状態にあります。

そんなときこそ、にっこり笑いましょう。

笑えないというのであれば、笑顔を真似まねた作り笑いでもOKです。口角を意識してキュッと上げるだけでも、顔の筋肉の緊張がほぐれ、顔だけでなく全身をリラックスさせる効果につながります。

小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)
小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)

これは、口角を上げて表情筋をゆるめることで、首の動脈にある圧受容体というセンサーから「血管を広げて副交感神経を上げるように」という指令が送られるからです。

口角さえ上がっていればよいので、軽い微笑みでも十分に効果があります。

実際に笑顔をつくってみてください。

肩の力がふっと抜けて、息がすーっと吐けた実感があるのではないでしょうか。そのままゆっくりと深呼吸をするとさらにリラックス効果が高まり、集中力や冷静さも発揮されます。

にっこり笑う。

たったこれだけのことでも、副交感神経のはたらきを高め、交感神経に傾いてしまいがちな自律神経のバランスを整えることはできるのです。

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