「感情労働」の職業は燃え尽きのリスクが高い

では、どのような職場が燃え尽き症候群を起こしやすいのでしょうか。リスクとなりえる職場環境の特徴について見ていきます。

まず、職種としては「感情労働」にあたる職業では燃え尽きのリスクが相対的に高くなります。感情労働とは、自身の感情をコントロールして笑顔を作ったり、明るい声を出したりすること(表層演技)が当然の行為として求められる職業を指します。接客業などをイメージしていただくとわかりやすいと思います。飲食店員やホテル業、美容師、客室乗務員、医療・福祉や教育に関わる仕事、コールセンターなども感情労働にあたるといえます。

ワインを運ぶウエーター
写真=iStock.com/kazuma seki
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表層演技を長時間強いられる生活を続けることがメンタル疾患のリスクを高めることに加え、顧客の反応などによっては努力や気配りに対して思ったような成果が得られないこともあり、燃え尽きてしまうケースが多くなります。

燃え尽き症候群が定義された当初は、これらの感情労働にあたる職業の人を対象に研究がされていました。しかし、最近では職種にかかわらず燃え尽きのリスクがあると考えられるようになっています。ほとんどの場合、働く環境にその原因を求めることが可能です。以下に挙げるような環境で働く方は、感情労働に該当せずとも注意が必要です。

職務上の負荷、業務時間外の連絡、評価制度も引き金に

第一に、職務上の負荷が過重であることが挙げられます。仕事を強要されることや厳しいノルマが課されている、長時間勤務である、休憩が十分にとれないなどが該当します。業務の負荷が過度に高かったり、押しつけられた仕事をこなしたりする場合には、達成感や充足感よりも疲労感の方が上回ってしまい、心も体もすり減らすことにつながります。

業務時間外に上司からの連絡を受け対応してしまうなど、仕事とプライベートの境界が曖昧になっている場合も注意が必要です。また、家庭では介護をしているなど職場外での負荷が加わればさらに燃え尽きのリスクが高まると言われています。

次に、会社の評価制度のあり方についても燃え尽きのリスクとなりえます。労働者が評価を実感できなかったり、正当な評価が得られていないと感じたりする職場では燃え尽きが生じやすいです。前出のとおり、人に評価されないことは仕事へのモチベーションに影響します。やる気は上がらず、やりがいや自信の喪失を招くため燃え尽きへとつながってしまいます。

また、職種としては感情労働にはあたらないけれど、職場における対人関係から感情労働が生まれてしまうケースもあります。例えば、職場での人間関係に悩みを抱えている、同僚や上司にすぐに怒り出す人がいて、いつも気を使わなければならない、などの場合は感情労働にあたると言えます。