1.体が冷たい。
2.冷や汗をかく。
3.食後に脂汗がひどい。
4.つかまれるような強い痛みがある。
5.背中に痛みがある。
6.失神してしまった。

これら重症サインの程度が激しく、30分以上症状が続くと、急性心筋梗塞や急性冠動脈症候群、大動脈弁閉鎖不全症、解離性大動脈などの重篤な心臓病が疑われます。救急車で病院へ直行してください。

「大動脈弁閉鎖不全症」の患者さんに「今すぐ救急車で病院に来てください」とお願いし、手術に至ったケースもありました。

2021年3月、患者さんのお嬢さまから、「父が食後に脂汗をかいて救急車を呼ぶと言っています」と連絡がありました。脂汗や冷や汗というのはショック症状です。体の循環が維持できない何らかの不調が起こっている証しです。これは危ないと判断し、すぐに来院いただきました。

血液検査をするとBNP(心臓を守るため特に心室から分泌されるホルモン。心臓の機能が低下して心臓への負担が大きいほど多く分泌され数値が高くなる)の値と心不全がかなり高度でした。すぐ手術をすると危険な状態でした。

2週間ほど心不全の治療をしてから大動脈弁置換を行いました。このように時間が稼げる場合は良いのですが、急性の大動脈弁閉鎖不全症では、心不全が強くてもすぐに手術が必要なケースもあります。

CT検査やAED、手術で助かる命がある

このように、すでに心臓病の診断がついている人は普段から繊細になっていますから、症状が出ればすぐにかかりつけの心臓専門医に行くことができます。

生まれつき心臓に病気を抱えた先天性心疾患の患者さんでしたら、造影CT検査をすれば、冠動脈の異常がわかります。生まれつき形態的にリスクが高いとわかれば、継続して検査データを蓄積し、問題ない範囲での運動などQOLを保ちながら、万が一発症した場合、迅速に処置ができます。

疲れた表情のビジネスウーマン
写真=iStock.com/PRImageFactory
※写真はイメージです

ある30歳前後の女性患者さんは、右冠動脈が左右の大血管(大動脈と肺動脈)に押しつぶされている先天的な血管走行異常でした。成長するにつれ血管が太くなり、ますます真ん中の血管が圧迫され縦につぶれ、リスクが高まっていました。

ある日、公園でランニング中に突然失神し、倒れて救急車で来院されました。搬送中のAEDで蘇生し、救急受け入れまでの間にカルテを確認し、緊急手術の準備を整え、一命をとりとめることができました。