突然死を防ぎ、健康で長生きするにはどうすればいいのか。心臓血管外科医の渡邊剛さんは「日本AED財団によると、日本では心臓突然死で年間7万9000人が亡くなっている。心臓が発する不調のサインを見逃さないことが重要だ」という――。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
胸の痛みを感じる女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

心臓突然死を防ぐにはどうすればいいのか

昨日まで普段通りに元気だった人が、突然命を落とすことがあります。「突然死」と呼ばれるもので、世界保健機関(WHO)の定義では「瞬間死あるいは発病後24時間以内の内因死」とされています。

総務省消防庁『令和3年版 救急救助の現況』によると、救急搬送された心肺機能停止傷病者数は年間約12万6000人、うち心原性心肺機能停止傷病者数は約7万9000人に上ります。また日本AED財団のホームページによると、心臓突然死の年間死者数は約7万9000人。1日に約200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっていると指摘されています。

原因の大半は虚血性心疾患です。臓器への血液供給が減少してしまい、酸素などが届かなかったり、詰まったりする状態を指します。代表例は心筋梗塞や狭心症などの心臓病です。

心臓突然死がとても恐ろしいのは、高齢者や心臓病の人に限らず、若い世代や心臓病ではない人でも突然起こることです。確かに心臓突然死は動脈硬化の進んだ高齢者に多いことが指摘されていますが、運動中に倒れて死亡する若い世代も少なくありません。

仕事中や運転中、自宅で過ごしている時や寝ている時であっても、意識を失ってそのまま亡くなるケースもあります。

本稿では、心臓突然死を防ぐためにはどうすればいいのかを考えます。心臓突然死は予測不可能ながらも、何らかの「予兆」に敏感になることが大切です。健康で長生きするためにも、ぜひ自身の身体が発しているかもしれないサインを見逃さないようにしてください。