福岡県那珂川市(人口約5万人)にある私立福岡女子商業高校が今、教育界で大きな話題になっている。2年前に赴任した国語科教員によって前年度は0人だった国公立大学合格者が一気に20人になったのだ。なぜ、そんなミラクルを起こせたのか。その立役者の教員で、30歳の若さで校長に就任した柴山翔太さん(現在31歳)が『プレジデントFamily』編集部の取材に答えた――(前編/全2回)。

※本稿は、『プレジデントFamily2022年春号』の一部を再編集したものです。

スゴイ合格実績はたった半年の講座にあり

――福岡女子商業に赴任したのは、いつ頃ですか?

2020年4月です。女子の商業科がメインの学校で、しかも私立ということで、定員割れが続いている状況でした。例年の卒業生の進学先は、専門学校・短大が約4割、就職が約4割。四大に進学する子はほんの一握りで、国公立の四年制大学に進学する子はいませんでした。私は大学進学率を上げるというミッションで、この学校に来ました(前任校は兵庫県の私立神戸星城高校)。

――たった1年で、国公立大学合格者20人。ミッションをどのようにクリアしたのですか?

実は、赴任直後からコロナ禍で6月まで休校期間が続きました。だから5月にZOOMで進路面談を始め、6月の初旬に高3の120全員に大学進学のための説明会を開かせてもらったんです。その説明会で、「君たちの将来のやりたいことっていうのは自分のできそうなことのなかから選んでない?」という話や、「今、将来の夢がないと焦っているかもしれないけど、高校時代で見つからなくても大丈夫。大学は自分のやりたいことを見つけに行く場所」というような話をしました。

それと、大卒と高卒の生涯賃金の違いの話だとか、就職活動のときに一部で学歴フィルターがある話など、現実的なことも話しました。すべての人が、生涯賃金や学歴フィルターで苦労するケースに当てはまるわけではないので、私の話が気になったら自分で調べてほしいとも伝えました。

――生徒からはどのような反応がありましたか?

その説明会の最後に「四年制大学の進学に1ミリでも興味を持ったら、スタディールームに来てほしい」と言ったら、6月の休校明けに30人ぐらいの生徒がスタディールームに来たんですよ。

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