ヘアケアやフェイスケアなどを目的とする理美容家電市場が緩やかに拡大している。女性向けでは“うるおい”が、一方男性用は“身だしなみ”がキーワードになっており、それぞれのニーズに沿った新機能が新たな需要を掘り起こした。2011年は、数量で対前年比4.8%、金額で同じく3.0%の伸びとなっている。
特に金額前年比34.9%増と市場を牽引しているのが、鼻毛・耳毛カッターといった男性用グルーミングというカテゴリーだ。パナソニックで、この分野を担当するアプライアンスマーケティングジャパン本部の加藤慎太郎氏は「女性に限らず男性も日ごろから清潔感を大事にしたいという願望が掘り起こされ、3年ほど前から2桁増が続いている」と話す。
主な利用層は30~40代のビジネスマンで全体の7割を占める。忙しい彼らの多くは、どうしても顔の手入れが億劫になりがち。しかし「ビジネスシーンにおいて、マイナスのイメージをゼロにする」(加藤氏)というメーカーの提案が購入動機になっているようだ。また、鼻毛カッターについては「エチケットカッター」と呼び名も変えたことが奏して、女性が買っていくことも少なくない。
しかも、グルーミングアイテムは小型軽量化していて、携帯にも便利になってきた。メーカー側では、すでに商品のラインアップは整ったというが、普及率はまだ1割程度。今後は認知を図っていく方針だが、思惑どおりいけば、50代以上も含めたユーザーの取り込みもできそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)