成功しているIT経営者は社会不適合者が多い説

——ひろゆきさんの最新刊は「問題解決」がテーマなのですが、けんすうさんが「ひろゆきさん、問題解決力が高い」と思ったエピソードはありますか?

【けんすう】本に書かれている話は前から聞いていたのですが、問題解決力はめちゃくちゃ高いなと昔から思っていましたね。最近は、論破の人として取り上げられることが多いですが、個人的にはそこには興味がなくて。むしろ、ひろゆきさんは「この問題はこうやれば解けるよね」のほうが得意だと思っています。この本はその魅力が全面に出ていて、面白かったです。

【ひろゆき】仕事で結果を残している人って、たいてい問題解決能力が高いんです。でも、そのスキルって外部から見えないんですよね。「論破」はショーとして成立しやすいからメディアで使えるんですけど、「会社でこういう問題がありました」と映像で見せられても、面白くないですからね。

【けんすう】ひろゆきさんの問題解決法はプログラマー的発想に近い気がします。ひろゆきさんは、「この問題は、こうすればコストを100分の1にできるよね」というのが得意なので、じつは会社で働いたりしたら、めちゃくちゃ成果が出るタイプの人なんですよ。

——ひろゆきさんが毎朝決まった時間に起きて、出社するイメージはなかなか湧かないのですが。

【ひろゆき】朝起きられなくても結果を出せば許してくれるタイプの会社なら、大丈夫です。その点、けんすうは大手通信会社の子会社の役員をやっていたし、大企業でもうまく会社員をやれそうですよね。

オンラインでの出演となったひろゆき氏。(2022年3月19日 梅田蔦屋書店での対談イベントより)
オンラインでの出演となったひろゆき氏。(2022年3月19日 梅田蔦屋書店での対談イベントより)

【けんすう】僕は必要なら気持ちよく媚びを売る、とかもストレスなくできるタイプなので、そこは良いところだと思っています。

【ひろゆき】IT経営者でうまくいっている人って、僕みたいに社会不適合者が多いと思うんですけど、けんすうは両方のスキルを持っているから珍しい。

【けんすう】そうですかね? 自分ではわからないです……。

【ひろゆき】ソフトバンクの孫(正義)さんや堀江さんは、会社勤めは無理だと思うんですよ。でも、けんすうは、サラリーマンも経営者もできるからね。両方のスキルをバランスよく持っている人って、じつはあまりいない。けんすうは、すごく真面目にうまくやるように見えて、頭のおかしい部分もある。頭のおかしそうな部分とサラリーマンもできる“まとも”そうに見える部分が両立しているという隠れた狂気が、けんすうの面白いところですよね。

【けんすう】これは褒められているんですかね?

仕事をしている時のひろゆきは、まともで優秀な人

——世間のイメージと実際のひろゆきさんとで、違う部分はありますか?

【けんすう】皆さんが知っているメディアに出ている時のイメージとは違って、普通の仕事をしている時のひろゆきさんは、まともで優秀な人なんです。たとえば、社長が会議でこういうことをやりたいと言い出した時に、ひろゆきさんは社長の言葉を否定するのではなく、社長がやりたいことをどのように実現しようかを考える。場を荒らしたりせずに、バランスをとってその状況の最適解を出すタイプですね。

西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)
西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)

【ひろゆき】僕にとっては、メディア出演も、会社の会議も、ゲームなんです。求められる役割の中で、成果を上げるというゴールがあって、自分自身を駒として使うという感じです。社長の要望があれば、それをかなえるのがゲームのゴールと考える。

【けんすう】ビジネス的に成功するよりも、社長のやりたいことを実現して、たとえ失敗しても、社長が満足すればそれがゴールだよね、という考え方ですよね。

それって、ゲームそのものが楽しいのか、それともゴールを達成することが楽しいのかでいうと、どちらですか?

【ひろゆき】ゲームそのものが楽しいから過程を楽しんでいる気がします。仮説を立てて試してみて、思い通りにならなかったとしても、「思い通りにならなかった」という知見が得られますからね。

【けんすう】達成できなかったとしても気にしない。

【ひろゆき】思い入れがないから、達成できなかったとしても嫌な気分にならないですね。僕にとっては楽しい日常があるので、それ以外の仕事やメディア出演は成功しようが失敗しようが、関心がないんです。(第2回に続く)

※2022年3月19日 梅田蔦屋書店で開催された対談イベントをもとに構成

(聞き手・構成=プレジデント社 書籍編集部)
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