ひろゆきのイメージは世代によって違う

——ひろゆきさんは、今では発言がネットニュースになるスーパー・インフルエンサーですが、20年前と比べて、何か変わりましたか?

【けんすう】当時から僕は、いち「ひろゆキッズ」としてひろゆきさんの発言を追っていたんですが、ほとんど変わってないと思います。一貫性がある。あと、どんなことを聞かれても、質問に答えるのは昔から得意でしたね。

——以前と比べると、社会的な発言が増えていますよね?

【ひろゆき】昔から、聞かれたことに答えているだけなので、聞く側の質問が変わってきたという、外部要因の気がします。番組で呼ばれて聞かれるのは、だいたい社会的なことなので。だから最近は、「時事問題をよく話している人」と見られるようになりました。

【けんすう】たしかに、昔はインターネット・カルチャーに関する質問が多くて、今は時事問題が多い気はします。

【ひろゆき】最近はネットのことを聞かれる割合が減りましたね。以前はサイト管理者だったので、2ちゃんねるやニコニコ動画などのサービスに関する細かな質問が多かったんですが、いまはサイト管理者として認識されていない気がします。

【けんすう】ひろゆきさんのイメージは、世代によって違う印象がありますね。40代以上の人に聞くとサービス管理者のイメージで、30代はニコニコ動画のイメージ、10~20代はYouTubeの人というイメージを持っているといいます。

【ひろゆき】けんすうは、昔からサービス系ばかりやっているよね。

【けんすう】サービスで当てたいな、という気持ちで続けています。

梅田蔦屋書店のイベント会場で話すけんすう氏(2022年3月19日 梅田蔦屋書店での対談イベントより)
梅田蔦屋書店のイベント会場で話すけんすう氏(2022年3月19日 梅田蔦屋書店での対談イベントより)

ひろゆきも認める、けんすうの「人たらしスキル」

——逆に、ひろゆきさんから見て、けんすうさんが20年前と比べて変わったと思う部分はありますか?

【ひろゆき】他人のお金を巻き上げるのは、昔からうまかったですね。

——ビジネスの才能が、その頃からあったんですね。

【ひろゆき】けんすうがIT業界で最初に名前が売れたのが、管理者をやっていた「JBBS@したらば」という掲示板が、ライブドアに1億円で売れた時なんです。「大学4年生がサービスをライブドアに1億円で売ったぞ!」と、優秀な学生経営者として話題になった。でも、実はこの掲示板は僕と友人が作って、面倒くさいことをけんすうに任せたんですけど、手柄は全部けんすうが持っていきました(笑)。

【けんすう】はい、その通りです。ありがとうございます。

——否定しなくてもいいんですか?

【けんすう】ほぼ事実ですね。その後、ひろゆきさんがライブドアの堀江(貴文)さんに「けんすうに騙されてる」と言い続けた結果、堀江さんも「騙されたのかな」って気になって。僕が騙した人みたいになってしまいました(笑)。

【ひろゆき】でも、けんすうは人に好かれて、うまく波に乗っていく能力が、昔から高いんですよね。アスキー創業者の西(和彦)さんが立ち上げた1ch.tvでも、西さんに気に入られて管理者として任されたしね。けんすうの「人たらしスキル」はすごいなと、ずっと思っています。

【けんすう】自分では上手ではないという認識なんです。むしろ、ひろゆきさんのほうが、敵を作りやすいと思われつつも、8割ぐらいの人に好かれている印象はあります。

【ひろゆき】けんすうは馬鹿にはされやすいキャラだけど、けんすうを嫌いな人ってあまりいないんだよね。

【けんすう】その分、けっこう舐められやすいんですよ。「この人、下に見て大丈夫なんだ」という立ち位置になりやすいんです。だからか、あまり敵にはならないですね。

【ひろゆき】舐められた時は、どう思うの?

【けんすう】年下が明らかにだんだんタメ口になっていったり、「さん付け」が消えていくのは面白く感じちゃいますね……。

【ひろゆき】昔は「けんすうさん」って呼ばれてたのに、今は「けんすう」って呼ばれてるな、と。

【けんすう】だんだん呼び捨てになっていくと、笑っちゃいますね。

【ひろゆき】むしろ、相手してくれてありがとうみたいな。