何がマストで何を求めているか、正しく把握する

【カピバラ部長】「具体化は、洗い出したいくつかのキーワード(図表1の、今回の要件)に対して、それぞれがどんな内容なのか、当社がどのように応えられるのか、具体性を明らかにすること。それによってお客様は、提案の価値を理解できるようになる。

図表1の左から右に行くに従って、キーワードに対する課題解決がどう実現するかが示されている。これが具体化のプロセスだ。

網羅感は、キーワードを漏れなく捉えられているかという視点だ。図でいうと①~⑤の項目で、お客様が求めていることをひと通り押さえているとわかれば安心できる。くまなく洗い出されていることが大切だ。

優先順位は、いくつか並んだキーワードを、重要な順番に並べることだ。

図の中では①→②→③→……と、意味のある順番となるよう並べている。

そして、数ある要望の中でも、何がMustで何がWantなのか、正しく把握することによって、有効な提案ができるね。

お客様と話していて、曖昧なことや不明点が出てきたとき、お客様と一緒に考えを整理するためにも『具体化』『網羅感』『優先順位』の3つの視点は役に立つ。これから、3つのポイントを解説していこう」

トヨタ式「なぜなぜ5回」で課題を因数分解

【カピバラ部長】「まず、お客様から出てきたキーワードが、そのままではまだ具体的でないときがある。

もし、お客様が『リピート率が下がって困っている』とおっしゃったときには、まだ漠然としていれば、『もう少し詳しく教えていただけますか?』と聞くのが基本だ。

そうすると、『昔ながらのお客様はサービスを使ってくれているが、最近新しくユーザーになったお客様はすぐ離れてしまう』といった情報が出てくる。あるいは『最近行ったキャンペーンや販促のやり方がうまくいっていない』のような話を聞けるかもしれない」

【マサル】「やっぱり、要件整理でも深掘りは大切ですね。具体化するためにどのぐらい質問を投げるべきかの目安はありますか?」

【カピバラ部長】「最低限の目安としては、『お悩みのキーワードを聞いたら、必ず1回は深掘りの問いを投げてみる』というのがおすすめ。

トヨタの共通言語として、有名な『なぜなぜ5回』がある。5回聞くかどうかは置いておいて、『1回聞いただけで終わらせない』ということは意識しておくとよいだろう。