会社の許可を得るものではなく「労働者の権利」

有休取得は労働者の権利であって、使用者が許可をするものではありません。なので、休暇の目的によっては取得を認めない、などという取り扱いはできません。ただし、労働者が請求した時季に休暇を与えることによって、単に忙しいというだけでなく、事業の正常な運営が妨げられる場合、使用者は他の時季に変更することはできます。

有給休暇 (カレンダー)
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これを「時季変更権の行使」といいますが、両親の他界など、取得理由によっては使用者が時季変更権の行使を控えなくてはならないことも想定されます。理由を問わず取得できる有休ではありますが、使用者側に一定の配慮が求められる場合に備えて、取得理由の記載欄を請求書類に設けること自体は問題がありません。

有休は労働者の請求を受けて使用者が与えるものなので、事前に請求することが求められます。したがって、会社を休んだ後に、その欠勤日を有休にしてほしいという従業員の申し出に対し、使用者が応じる義務はありません。

有休中の賃金は就業規則に明記されている

これは無断欠勤に限らず、発熱などで当日の朝に欠勤連絡を入れ、有給休暇の取得希望を伝えなかった場合も含みます。突然の発熱等で有休を使いたい場合は、欠勤の連絡をする際に、上司に有休取得の意向を伝えて、承認を受けておくようにしましょう。

ただし、就業規則等において、事後の届け出による取得を認める旨を定めている場合は、その定めに従います。たとえ就業規則等での定めがなくても、使用者が任意で有休取得に応じることに問題はありません。

有休取得中の賃金の計算方法として、以下の3つがあります。

1.通常の賃金を支払う(日給、週給÷当週の所定労働日数、月給÷当月の所定労働日数)
2.平均賃金を支払う(直近3カ月間で支払った賃金の総額÷暦日数(休日を含む))
3.健康保険法の標準報酬日額

使用者は、自社が採用する算出方法を就業規則に明記しなければならず、部署や従業員ごとに算出方法を変えることはできません。