公認会計士 秦 美佐子 はた・みさこ●早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、優成監査法人勤務を経て独立。在職中に製造業、サービス業、小売業、不動産業等、さまざまな業種の会社の監査に従事する。上場準備企業や倒産企業の監査を通して、飛び交う情報に翻弄されずに会社の実力を見極めるためには有価証券報告書の読解が必要不可欠だと感じ、『「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方』(プレジデント社)を執筆。他に経営に活かせる会計をテーマにした『会計士マリの会社救出(秘)大作戦!』(すばる舎)などの著書がある。

「ただ、認識していても克服できるとは限らない。例えばさくらが苦手科目の物理を得意科目にしようと目標を立てたとしても、実際に得意科目に出来るかどうかはわからないだろ。努力次第というところがある」

「たしかに…。目標を立てるだけではだめよね。それにしても、中越沖地震での損失も大きいけど、東日本大震災では1兆円もの損よ。これだけの資金を負担できないから、国有化に向けての話し合いが進んでいるのね」

「たしかに資金負担はかなり重い。だけど、実は東電にとって一つだけラッキーだったことがあるんだ」

「えっ、ラッキーなことって一体なに?」

「それについてはまた次回みていこう」

 

今回は有価証券報告書を使って会社の業績等の概要と対処すべき課題を見てきました。このように有価証券報告書を読み解くことで、会社の決算情報のみならずその裏側で起きていることや今後の方向性について知ることができます。

※なお、ここでは引用した有価証券報告書の内容について、ポイントを目立たせるために一部に下線を施しました。基となる有価証券報告書の本文には下線部が一切ありませんので、どうぞご了承ください。