今日では情報が氾濫しています。聞いたことをそのまま鵜呑みにしないためには、有価証券報告書のような、企業が法律に基づいて正式に開示している資料を読むことが大切です。しかしながら、ただ漫然と読むだけでは、思わぬ落とし穴にはまることがあります。
第1回では、東京電力の人件費を確かめるために、従業員の状況に記載されている従業員の平均年間給与を見てきました。その結果、東京電力を同業他社と比べた場合、特別に高いというわけではないことが読み取れました。
たしかに電力業界では高い水準とは言えないが、他の業界に比べればやっぱり東電の給料は高いのではないか。年収300万円時代といわれているなかで、電力業界は恵まれているのではないか。そのように捉えることもできます。大事なのは、正しい情報に基づいて考えることです。
ただし有価証券報告書を正しくご活用いただくためには、その読み方をきちんとマスターする必要があります。読み方を誤ると思わぬ落とし穴にハマることがあるからです。その例を示すために、この回では、前回とりあげた東電の人件費についてさらに深堀していきます。有価証券報告書で開示されている従業員の年間平均給与には、一体どういったものが含まれているのでしょうか。