「けっきょく全従業員の平均年収は、東京電力が809万円、関西電力が806万円、それから中部電力が834万円ということか。

業界内で東電の給与が高すぎると言えないことに変わりはないけど、管理職を含める前の761万円と含めた後の809万円では、意味合いが異なるわ。差が大きいもん」

さくらの言葉にうなずきながら佑真は付け加えた。

「3社とも平均給与に賞与(ボーナス)と基準外賃金(残業代や出張手当など)を含めている点にも着目すべきだ。ここで開示されているのはあくまで純粋な年収で、福利厚生費などが含まれていないことも読み取れる」

「なるほど~。注記からも様々な情報が分かるんだね。今度有報を読むときにはきちんと気をつけるよ」

有価証券報告書は事実を客観的に捉えるためのツールです。しかし、その読み方を誤れば思わぬ誤解につながることがあります。与えられた数字だけでなく、その意味を説明する注書きやそれに関連する情報にも目を光らせていきましょう。次回は数字の背景について探っていきます。