最後に、マネジャーが離反削減プログラムを開始する際の手引きになりうる原則を、いくつか紹介しよう。

●離反の根本原因の解消に力を入れる

加入ベースのサービスを提供している事実上すべての企業が、「顧客引き留め」マニュアルを持っている。しかし、まだ離反するには至っていない顧客を対象にした維持プログラムには、それよりはるかに少ないエネルギーと資金しか投じられていない。ここにもっと多くの資源を投じることで、解約する顧客の引き留めや新規顧客の獲得にかかる費用を減らすことができる。

●判断を惑わせる顧客調査を行わない

多くの企業が、顧客満足度の把握や評価に多額の費用を投じ、調査の結果に多大な信頼を寄せている。しかし、自己申告の顧客満足度は、これらの顧客が将来どのように行動を変えるかを示唆しているものでないかぎり、適切なデータとは言えない。顧客経験のさまざまな要素に対する顧客の自己申告の満足度を適切に解釈し、個々の要素の相対的な重要度を勘案した満足度指数を編み出すことがきわめて重要だ。

●実際の顧客経験と顧客行動の関連を明確にする

加入ベースのサービスにおける顧客満足度の最も適切な測定基準は、離反そのものだ。顧客経験のさまざまな重要要素と実際の顧客行動の直接的な関連を個々の顧客レベルで把握する企業は、本当の顧客ロイヤルティを左右する要因や離反要因を特定し、それに対処するうえで大きな競争優位を持つ。

●よりよい理解はよりよい対策がともなって初めて価値がある

離反の根本原因を理解するだけでなく、それに対処することで、より効果的でコスト効率のよい離反管理が可能になり、その企業が顧客の最善の利益をめざしていることを顧客に示すことができる。より少ない費用でより大きな効果をあげ、顧客からも賛辞を得る──これこそ成功とみなすべきものだろう。

(翻訳=ディプロマット)