東京・新小岩に白飯をメインにする「ステーキ店」がある。店名はコメトステーキ。店主の大曽根克治さんが、父から継いだ米穀店を閉じ、2019年末に立ち上げた。コメを生かした店づくりが奏功し、行列のできる人気店に。フリーライターの川内イオさんが取材した――。
「コメトステーキ」の外観。人気ラーメン店と似ている
筆者撮影
「コメトステーキ」の外観。一見、なんの店かわからない作り

メニューは2つだけ…倒産から始まった米穀店主の逆転劇

総武線・新小岩駅の南口を出ると目に入る、アーケード商店街。全長約420メートル、約140店舗が軒を連ねるその商店街をのんびり10分ほど進むと、住宅街に出る。

それまでの賑やかさとは別世界のように静かでひっそりとした通りを歩いて2、3分、明かりをつけた軒先の黄色いテントが夕闇に浮かび上がる。テントにはなにも書かれていないから、ぱっと見はなに屋なのかわからない。