収入は伸びないのに学費も住宅費も上がり続ける
なぜ若者世代が社会主義を擁護するのか、その前提となる事実を確認しておこう。ウェブメディア「ビジネス・インサイダー」(2019.11.07)に五つのポイントが挙げられているので、箇条書きに抜き出しておこう。
(1)若い世代の収入は1974年以降、29ドルしか伸びていない。
具体的には、1974年の年収が3万5426ドルだったのに対して、2017年は3万5455ドルだった。その上の世代に比べ、ミレニアル世代の収入はほとんど増加していない。
(2)大学の授業料は1980年代以降、2倍以上に。
収入があまり上昇していないのに、大学の授業料は高騰しているのだ。その結果、学生ローンの債務が広がっている。これがあるため、アメリカ人の13%が子どもをもたないと決めたという。
(3)住宅価格は40年前より40%近く高い。
収入が伸び悩み、その他の債務を抱える中、高い住宅費のために、貯金をすることができなくなっている。そのため、家を買うための頭金がなく、たとえ家を買ったとしても、住宅ローンの債務に悩んでいる。
(4)医療費が高騰している。
ある調査では、1960年代には146ドルだった1人当たりの平均年間医療費は、2016年には1万345ドルに達している。
(5)ミレニアル世代の半数以上がクレジットカード債務を抱えている。
収入が増えない一方で、住宅費や教育費、医療費が高騰すれば、日々の生活がクレジットカードを使って決済することになる。ある調査では、ミレニアル世代の51.5%がカード債務を抱えている。
こうした要因から、ミレニアル世代に左派寄りの候補への支持が広がっている。