東京五輪後の国際大会が次々と消滅

日本人からすれば、蔓延防止措置で外食や旅行もしづらいのに、外国から人を呼ぶなんてもってのほかと思うかもしれない。しかし、隣国の中国では北京冬季五輪が始まり、欧州各国ではオミクロン株の感染状況をにらみながら、ほぼ満員の観客を入れてプロサッカーリーグの試合をはじめ、各種のスポーツイベントが実施されている。

さまざまなリスクを負いながらも昨夏に東京五輪をやりきった日本だが、実はその後に予定されていた世界的な競技イベントはキャンセル・日程変更される例が後を絶たない。

五輪後に延期・中止となった世界的スポーツイベントの例
(日程は当初の実施予定日)
21年10月8~10日 F1日本グランプリ(三重県鈴鹿サーキット、中止)
22年3月4~6日 JAPAN MOUNTAIN BIKE CUP(伊豆市、延期)
22年3月25~27日 FISE HIROSHIMA 2022(旧広島市民球場跡地、中止)
22年5月13~29日 世界水泳2022福岡大会(福岡市内の複数カ所、延期)
50メートルプール
写真=iStock.com/Evgenii Mitroshin
※写真はイメージです

開催する準備ができても入国ビザが下りない

F1(フォーミュラワン)は言うまでもなく世界最高峰のモータースポーツの祭典だ。鈴鹿での実施見送りは20年、21年と2年連続となった。21年は特に、鈴鹿サーキットにもゆかりがあるHondaのF1参戦が最終年度となったことから、日本のファンだけでなく、世界からも注目が注がれていた。

鈴鹿サーキットは当時の声明で「F1日本GPを開催するために設定された期日までに、F1海外関係者の日本入国が確実な状況に至らなかったために、やむなく開催中止の決断をした」と述べている。つまり、日本政府が外国人関係者に対する入国ビザを発給する姿勢が見えなかったためとも読み取れる。

福岡市で今年5月に開催予定だった水泳の世界選手権(世界水泳)は23年7月に延期が決まった。ロシアの国営イタルタス通信は、福岡大会の延期是非を話し合ったFINA理事会に参加した役員の話として、「パンデミックやコロナ環境下での、参加者の到着や宿泊の手配に関する問題から、世界選手権の2023年への延期を決議した」と伝えている。

中国で、より大会規模が大きい冬季五輪が行われている中、「日本で水泳の選手権ひとつさえできないのはおかしい」と考える人もいるだろう。これはひとえに、日本政府が「外国人へのビザ発給作業を止めて入国させない」という姿勢をとっている理由に尽きる。