世界の研究者たちが日本の入国制限を批判
世界中で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が続いている。日本は外国人の入国制限や蔓延防止措置といった従来の政策を繰り返しているが、筆者が住む英国を含め、多くの主要国は自主隔離やコロナ検査の類いを短縮あるいは撤廃し、「コロナ以前の暮らしの復興」へと方針転換している。
そしてそれらの国でいま、「日本は科学的根拠に基づかない外国人受け入れ停止措置を解除すべきだ」と訴える動きが着々と進行している。
ブルームバーグによると、100人を超す世界の研究者や大学教員らは1月18日、岸田文雄首相に対し、「水際対策の早期緩和を強く求める」とする書簡を送った。入国制限が「国際社会との関係に悪い影響を与えて日本の国益を毀損している」とも訴えており、その深刻度は尋常ではない。
「いつになったら日本は鎖国をやめるのか」
「いつになったら日本は鎖国をやめるのか? これじゃ仕事にならない」
筆者の元には、欧州在住のビジネスマンからこうした類いの質問が飛んでくる。「東京五輪の選手らは入れたのに、ビジネスだと入国できないとはどういうことなのか説明してほしい」とまで言われたこともある。
日本は2020年3月以降、コロナ禍対策によって、観光、就労、研究、学生ビザといった渡航条件のいかんにかかわらず、外国人の新規入国を大幅に制限している。日本経済新聞によると、海外で日本への上陸を求める入国希望者数は昨年10月時点で37万人超に達しているという。
同紙はさらに2月7日付一面で、厳しい水際規制による企業活動への影響について、「鎖国状態が続けば、人材やマネーの日本離れが一段と進みかねない」「主要国で外国人の新規入国を原則禁止するのは日本のみで、ビジネス環境の悪化は鮮明」と表現。経済復興への足かせになる懸念を示している。
世界保健機関(WHO)はかねて、日本政府のこうした「日本人と外国人との扱いの差」について異論を唱えてきた。1月にはWHO緊急委員会が新型コロナに関わる渡航規制を撤廃、もしくは緩和するよう加盟国に勧告も行った。多くの国々はこの勧告以前から、外国人に対しても「国民と同様の厳しい規定を守ってもらう」という条件で入国を許している。コロナ対策の厳しい中国でさえ、長期滞在可能なビザを持つ外国人の受け入れは継続的に行っている。