日本との取引はリモート対応でいい

こうした背景もあり、海外から見た日本は「外国人泣かせの対策」の厳しさがより目立つようになっている。世界の主要都市を相手に仕事しているビジネスマンたちは「どうして日本は、“ガイコクジンだとダメ”と言い続けているのか理解に苦しむ」といった趣旨の苦言を異口同音に発している。

南部ドイツ出身の40代男性は「日本の企業さんと一緒にビジネスイベントを開く。その具体的な相談のために1日も早く訪日したい」とすでに1年以上にわたって希望しているが、「この状態では、欧州から出展者を送ってイベントを開催するどころか、準備のための打ち合わせもできない。このまま日本での計画を潰すしかない」と嘆いている。

ヒアリングを進めたところ、「日本を切った」というさらに厳しい判断もあった。

「日本とはリモートでしかやりとりしないことにした」というのは、IT系の多国籍企業に勤める50代のマネジャーだ。「日本政府の姿勢から、人の交流ができる雰囲気がまるで見えてこない」と指摘。この会社はきっと、コロナが落ち着いても日本へ出張者をほとんど送らないだろう。「例えばシンガポールは同じアジアの国だが、外国人受け入れに向けたスキームを対外向けに公表、運用している。ルールに従えば入れるという公正さ、明確さが信頼できる」と日本との決定的な違いを口にする。

「ネオ鎖国」の日本はアジアの片田舎の国になる

日本政府による外国人入国拒否について、外国メディアの中には、江戸時代の「鎖国」をもじって、現在の状況を「ネオ鎖国(neo-sakoku)」と揶揄やゆする論評が広がりつつある。筆者が目にしたものでは、

「ネオ鎖国を黙認し続けていると、日本は外国との交流から断ち切られ、アジアの片田舎の国になる危険性がある」(Nikkei Asia、1月27日付
「コロナ禍以前から『外国人には入ってきてほしくない』と考える人々や、『日本はガラパゴス的な鎖国をしていたほうが快適に進化するかも』と信じる人たちにとって、『ネオ鎖国』の政策はきっと喜ばしいものなのだろう……」(Financial Times、1月29日付

こうした言葉を連ねるジャーナリストらは、「コロナと対峙たいじする日本国民の意識」をよく調べている。例えば、「潜在的な外国人嫌いの傾向」だったり、「ゼロコロナを死守するためには、ヨソモノを遠ざけたいとする考え」だったりといった、一部の日本人が持つ「気持ち」に対し、敏感にアンテナを張っている。