欧州向け天然ガスの供給を、本当に絞れるのか
緊迫化するウクライナ情勢を受けて、米国が日本と韓国に対して、有事の際にヨーロッパに対して天然ガスを融通できるか打診していたことが話題となっている。
ウクライナで有事が生じた際、米国はロシアに対して制裁を科す方針だが、ロシアがその対抗措置としてヨーロッパ向けの天然ガスの供給を絞る展開が懸念されているためだ。
仮にロシアがウクライナに軍事侵攻し、米国が制裁を発動した場合、供給不安からヨーロッパの天然ガス価格は急騰を余儀なくされる。スポット契約が主なヨーロッパのガス市場は、価格が変動しやすいためだ。
すでにヨーロッパの天然ガス価格は、再エネの不調などから歴史的な高水準にあるが、それが一段と急騰することになる。
有事を警戒するヨーロッパはすでにアジア市場での天然ガス調達を増やしており、長期契約が主なアジア市場の天然ガス価格にも上昇圧力がかかっている。
これから春を迎えるために暖房需要が剝落するとはいえ、仮に日本や韓国が天然ガスをヨーロッパに振り向けた場合、アジア市場の天然ガス価格はさらに上昇すると警戒される。