東京五輪の輝かしいメダルラッシュの背景

2021年に開催された東京オリンピックにおいて、日本は金メダル27個、合計のメダル数でも58個と、史上最多のメダル獲得数となりました。これは自国開催に向けた強化の賜物であると同時に、アスリートの皆さんの言葉にできないほどの努力の結果であり、その姿に私も深い感動を覚えました。

それに加え、体内時計の視点から考えると、時差がなく体内時計のズレがないまま試合に臨めることも、他国の選手にくらべて大きく有利な点です。

時差への対応は、どの選手団もチームドクターや専門家が担当して、綿密な配慮がなされているはずで、オリンピックに限らず、国際試合の前には試合会場近くで合宿するという話をよく聞きます。これは、現地の気候に対応するだけでなく、時差への適応を考慮した措置であることはよく知られていると思います。

体内時計は人間のパフォーマンスを大きく左右する

ところが、今回のオリンピックでは、コロナ禍のためにこうした事前合宿を中止した国が多かったようです。日本との時差が7時間、8時間以上ある地域も数多くあり、遠方の国からやってきた選手はさぞ大変だったことでしょう。適応にはかなりの時間がかかってしまい、適応しきれないうちに試合当日を迎えたというケースもあったと思います。

八木田和弘『2つの体内時計の秘密』(青春出版社)
八木田和弘『「2つの体内時計」の秘密』(青春出版社)

試合までに時差ぼけが解消されているかどうかで、パフォーマンスはまったく違ってきます。反射神経や骨格筋の反応など肉体的なパフォーマンスに大きく影響しますし、注意力や判断力の面でも多大な影響があります。

体内時計の働きは、単に約24時間周期のリズムをつくり出しているだけではありません。

「最適な時刻に、最適な機能を活性化させる」というタイミングを決める重要な働きも持っています。体内時計をきちんと整えておくことは、その人が本来持っているパフォーマンスを最大限に発揮することにつながるのです。

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