株式投資で成功するにはどうすればいいのか。『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)を出した伊藤潤一さんは「ロジカルで再現性のある手法で負けないことが大切だ。チャート分析はオカルトと同じでアテにはならない」という――。
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「プロの投資家」と「素人の投資家」の決定的な違い

本屋の投資本コーナーに行くと、たくさんの投資本が並んでいる。特に株式投資に関連した本でめちゃくちゃ多いのが、「チャート分析」の本だ。

チャートというのは、もともと「海図」のことで、船を運航する時に使う、海底の地形や水深などが書かれている地図のようなものだ。

それが転じて、株価や為替、最近では暗号資産など、値動きのある資産が過去にどのような値動きをしたのかを記したものを、チャートと呼んでいる。株式関係のウェブサイトでも個々の銘柄のチャートを紹介しているサービスはいろいろとある。

あまり株に詳しくない方に説明を添えておくと、このチャートの動きを分析することによって、将来、株価などがどのように動くのかを予測することを「チャート分析」、あるいは「テクニカル分析」と呼んでいる。書店に行くと、とにかくこれに関連した本がたくさん並べられている。

逆に、私たちプロ投資家が投資判断を下す際に用いているバリュエーション、つまりその企業の価値が、今後その企業が生み出す価値に比べてどれだけ割高か割安かを弾き出す「ファンダメンタルズ分析」の本は、本当に少ない。書棚の片隅に追いやられているというのが実態だ。